お古が無くなる時代
ほんの少し前の時代は、兄弟がいれば、下の子はお兄ちゃんお姉ちゃんのお古が一般的でした。
長男長女でない子は、これまで新しい服を着たことがないとぼやいていたものです。
それがこの頃は、お兄ちゃんお姉ちゃんがいても新品を与えられる子が増えて、
お古なんて考えられないというお子さんや親御さんまで目立つようになりました。
そんな時代になって、今思えば不人気だったお古も懐かしく思います。
お古の良さは家計の経済的負担の軽減といった、
まずは親のメリットが思い付きますが、今となっては使い古された服の味が何より挙げられると思います。
そんな人が使ったものの良さを今の時代再び復活させたいものです。
中古自転車が贈答品に
その中で今回ご紹介しますのが自転車です。
まさかの自転車に再利用?なんて思われる方が数多くいらっしゃるかもしれませんが、これは今ブームなのではと私は感じています。
そう感じた発端は中古自転車が贈呈に使われたことでした。
その自転車は放置自転車を利用してのことでした。
放置自転車は今とても問題になっていて、
せっかく費用をかけて保管しておいても持ち主が引き取りに来ることも少なく、
積もり積もる一方だと聞きます。
宝の山に見えつつも、有効な活用方法は難しい資源ではと思いました。
しかしそんな中、ある街では画期的な取り組みを始められました。
その自転車を留学生に贈呈されたのです。
それは留学生の経済的負担を考えられてのことで、
また不自由なく学生生活を送って頂きたいとの思いからだったそうです。
そのお話をお聞きして感動しました。
最初はなぜ新品を贈らないのかと、留学生なら尚更のことと疑問に思いましたが、そこに中古という価値を見た気がしました。
それはまだ学生の身分の方達に、日本で使われたものを引き続き使って下さいと兄弟のような思いが込められていると思ったのです。
どこか温かい、そしてこれからを期待する思いに満ちた激励の贈り物と思いました。
自転車を受け取られた留学生の方々は、とても喜んでおられたそうです。
異国の地での暮らしはさぞかし不安が伴ったと思いますが、その自転車に乗る度にそれは解消されたのではないでしょうか。
きっと末永く愛用されたことと思います。
新しい自転車の贈呈では得られなかったものがその自転車にはあったと思います。
留学生の方々は、その自転車に乗られた時どんな思いが浮かばれたでしょうか。
「前の持ち主はどんな方だったのかな」
「この自転車でどこへいったのだろう」
いろんな思いが心に広がったと思います。
お古のよさが今の時代にこそ必要なのではないでしょうか。
それは人との交流をも促す心の優れた潤滑剤でもあると思います。